吉原といえば、いわずと知れた遊郭の町。性欲と食 欲の二大本能のうち、前者を満たしに行くところが、 吉原でした。しかし実際は、性欲だけでなく、後者の 食欲のほうも、十分満たしてくれる、おいしい町でも あったとか。その証拠に、江戸時代には、「吉原名物」 と呼ばれる食べ物がたくさんあって、名品を売る店が 軒をつらねていました。 かんろうめ 中でも一番の名物が、甘露梅○甘露梅とは、種を抜 いた青梅を、砂糖蜜と酒に漬け込んだもので、隠し味 として、サンショやコショウ、シソの葉などのスパイ スがふんだんに使われていました。 この甘露梅へ吉原では、正月のお年玉がわりに配ら れる、非常にめでたいものでした。どこの茶屋でも夏 になると、自家製の甘露梅を仕込んだものだそうです。 なかでも、松屋の製品が有名でした。